喜八荘 宮﨑葉子さん

女将の背中を追いながら家族で一致団結 地元の食材が味わえる福吉の絶景宿

 

J R筑肥線福吉駅から国道202号線を唐津方面へ車で走らせること3分、海沿いの所に喜八荘はあります。1962年に先代の宮﨑喜八郎さんが創業し、現在は旅館の「喜八荘」と御食事処「きはち」、日帰り入浴が可能な「きはちの湯」があります。

 

旅館の喜八荘はこちら。写真提供「喜八荘」

 

喜八荘の若女将として働く宮崎葉子さんは、2008年喜八郎さんの孫である敬弘さんと結婚し、糸島市前原から福吉に嫁いで来ました。仕事内容は主に、宿泊者のお出迎え、料理提供、部屋のセッティング、宴会、見送りまで、仲居の仕事を担当しています。夫の敬弘さんは調理場の責任者を務める板長です。

 

新鮮な海の幸をふんだんに使った喜八荘の料理 写真提供「喜八荘」

 

 

きはちで提供されている海鮮丼。観光客だけでなく地元の人からも人気。 写真提供「喜八荘」

 

料理は福ふくの里で仕入れた地元の食材を使っています。敬弘さんはじめ調理スタッフが常に丁寧に、飾り付け一つから丹念に行い、愛情を込めて料理を作ります。そんな姿を見ている葉子さんは「自信を持って料理を提供したい」との思いが強いそうです。

 

露天風呂からも玄界灘が一望できます。 写真提供「喜八荘」

 

結婚当初は旅館の仕事を知らなかったので戸惑いもあり、葉子さんの実家の両親は心配していたと言います。「結婚したばかりの頃、『カワハギを煮ておいて』と頼まれて、皮を付けたまま煮たことがあって(笑)。それくらい魚のことも知らなかったんですよね」と葉子さんは笑います。

 

葉子さんの実家は糸島市前原で自営業をしています。時々実家のお店のお客さんがお祝いの席や法事などで喜八荘を利用してくれることがあり、葉子さんは「今でも縁がつながっていてうれしい」と話します。

 

結婚前は福岡市内のホテルで、フランス料理のウエイトレスとして働いていました。料理提供がゆっくりなフランス料理と比べて、仲居の仕事は全く違うそうです。「慣れるまでは大変でしたが、宴会終わりにお客様と一緒に歌ったり、踊ったり、料理を提供しながら、楽しい時間を共に過ごさせていただいているので幸せな仕事だなと思っています」と充実感を感じています。

 

葉子さんの義母、女将の美佐子さんについて話を聞くと、「すごい。その一言です」と葉子さん。美佐子さんは小柄ですがパワフルで、朝から晩まで喜八荘を切り盛りしています。それを支える美佐子さんの娘の寛子さんと喜久子さん、敬弘さんの姉弟3人の姿と見事なチームワークに感動するそうで、「私はひたすら付いていく感じですね」と笑顔を見せます。

 

 

お客さんから美佐子さんとの楽しい思い出話を聞くことや、電話で予約を受けた際に、「女将さん元気?」と常連さんから尋ねられることもあります。「私もそんな女将さんのようになれたら」と美佐子さんの姿は葉子さんの目標になっています。

 

チェックアウトするお客さんを美佐子さんと見送った後に、一緒に朝食を食べる時がほっとする時間。夜は二人でお酒を楽しむこともあるそうです。

 

受付から見える迫力ある景色に思わず「わー!」と声が出そう。

 

喜八荘のロビーの大きな窓からは整えられた立派な松と海が見えます。葉子さんが福吉に来て14年経つ今も、この景色の感動は全く薄れることはなく、海や夕日、雲がきれいな時、虹が出た時などはスタッフみんなと「見て!見て!」とスマートフォンで写真を撮って景色を楽しんでいます。天気が良い時は喜八荘から羽島、姫島を望むことができます。喜八荘と長年共に過ごしてきた景色です。 

 

喜八荘から一望できる無人島の羽島。写真提供「喜八荘」

 

結婚した時、敬弘さんに「何かあったら海を見たらいいよ。きれいやけん」と言われた葉子さん。その時はあまりよく意味が分からなかったそうですが、疲れた時や落ち込んだ時に海を見ていると「あ、こういうことか!」と、きれいで雄大な海に癒やされ、力をもらっています。

 

宮﨑さん夫婦には3人の子どもがいます。土日が忙しい仕事なので、学校が休みの日に子どもの友達と親子で一緒に出かける時は、「葉子さんは仕事だからいいよ」とお母さんたちが子どもたちだけ連れて行ってくれることもあるそうです。春には長女の絢菜さんが中学生になりますが、保育園の頃から付き合いがあるお母さんたちに助けられ、福吉での暮らしは本当に恵まれていると感じています。

 

左から葉子さん、夫の敬弘さん、義姉の喜久子さんと寛子さん

 

取材の最後に葉子さんと敬弘さん、寛子さん、喜久子さんに写真撮影をお願いしました。「口紅塗ってないよ」「笑顔が難しいわ」とわいわい話す様子に仲の良さが伝わります。初めて来たお客さんにも「ご家族ですか?」と聞かれることもあるそうですが、納得です。

きれいな景色とおいしい料理、心まで明るくなりそうな皆さんの人柄に、身も心も癒やされ、また喜八荘に行きたくなりました。

 

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玄海灘で取れた新鮮な海の幸を、きれいな景色と共に楽しんでいただけたらうれしいです。お風呂に入ってゆっくりお過ごしください。

福吉のおすすめ

喜八荘から見える景色。

夕日が海に沈む様子は、空が赤く染まり本当にきれいです。

【取材日】2022年3月2日