吉村和将さん

吉村和将さん


福吉のおすすめ

畑にいるばあちゃんに話しかけたら野菜がもらえる、かもしれない。

取材日:2021年3月8日

両親が培ったブロッコリーづくりを受継ぎ、生まれ育った土地に自然体で生きる

福岡市内で15年勤めた会社を退職し、実家の農家を継いだ吉村和将さん。現在は妻の明子さんと二人で主力のブロッコリーをはじめ季節の野菜や米を栽培しています。

調理が簡単で栄養価も高いことで人気の緑黄色野菜ブロッコリー。糸島では10月から6月にわたる長期間の収穫が見込める作物として、米の裏作に栽培されることが多いようです。吉村さんが農協に出荷したブロッコリーは福岡市青果市場から福岡・広島・大分方面に流通しています。福ふくの里に出荷したものは店頭で販売されるほか、二丈地区の小学校の給食にも使われているそうです。

一口にブロッコリーと言っても、実は市場には100種近くものブロッコリーが流通しています。それらの中から吉村さんは耐寒性・耐暑性や作業性などを見極めて、常時10種類もの苗を育てています。栽培は米の休閑期に水田を利用。農地の有効活用だけでなく、収穫後の株をそのまますき込んで緑肥として活用できるという利点があります。

吉村さんは農家として大切にしているのは安心安全でおいしいものを作ることだと言います。極力農薬を使わずに育てる、ひと株ひと株を最高のタイミングで収穫する、出荷までの数時間は鮮度を保つために専用の冷蔵庫で保存するなど、こだわりがいっぱいです。

農業の良さについて尋ねてみると、

「作物は天候に左右されやすい。上手くいくこともあるし、いかないこともある。だから面白い」

と、達観した答えが。人間も自然の一部であることを受け入れ、それを楽しんでさえいる余裕が感じられます。

生まれも育ちも福吉という吉村さん。海が近くて新鮮な魚が手に入り、農産物も豊富なので、収穫のお裾分けも日常なのだそう。なんともうらやましい限りです。

仕事が一段落したときは、平日の静かな海で幼稚園に通う愛娘と遊ぶのも楽しみのひとつ。妻の明子さんは「隣家との距離がゆったりしているため、子どもが大きな声を出しても気兼ねしなくてよいなど、子育てしやすい環境があるのも福吉の良いところ」と話します。

会社員と自営業、両方を経験した吉村さんは、最近は農業が売り手市場になってきていると実感しているそうです。機械化して大規模に生産したり、少量多品目を直売所で販売したり、レストランと提携して付加価値の高い野菜を栽培したりなど、さまざまなやり方で農業に取り組む農家が増えてきています。そんな中で、吉村さんはこれからも両親から受け継いだ土地と技術、機材や資材を生かし、おいしいブロッコリーで多くの人に喜んでもらいたいと語ってくれました。

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福ふくの里ではブロッコリーは母の名前で出荷しています。『吉村久仁子』のタグが目印です