伸栄丸

伸栄丸 佐々木:佐々木 伸一さん


福吉のおすすめ

福ふくの里の菜の花畑がおすすめです。
2〜3月ごろの満開シーズンは、一面黄色に染まってとても綺麗ですよ。

取材日:2021年3月27日

おいしいカキを育てるための重労働を「大変なことは特にないねぇ」と佐々木さんは笑う

福ふくの里から車で3分ほどの場所にある福吉漁港。背振山系から栄養分豊富な川の水が流れ込み、プランクトンを多く含む豊かな海が広がります。

「伸栄丸 佐々木」は、福吉漁港の船着場から目と鼻の先。カキのシーズン中の11〜翌3月はカキ小屋「焼カキの伸栄丸 佐々木」で、カキや新鮮な魚介類を提供しています。それ以外の時期は定置網で水揚げしたアジ、ブリ、カンパチ、ヒラマサなどを出荷しています。

カキ小屋「焼カキの伸栄丸 佐々木」。ピンクののぼり旗が目印です。

代表の佐々木伸一さんのこだわりは、鮮度となるべくきれいな状態で消費者に届けること。

鮮度を保つため、魚は水揚げ後すぐに生き締めにし、出荷作業が終わり次第、直売所へ運び出します。なるべくきれいな状態で出荷するために、タモ網で魚をすくう際には、一度に網に入れる量を少なくして魚が傷つくのを防いでいます。カキは水揚げすると一つ一つ丁寧に磨き上げるなどの手間をかけています。

「中途半端な物は出したくないけん。味も見た目も楽しんでほしいんです」。ユーモアある語り口の佐々木さんですが、まなざしは真剣そのものです。

水揚げしたカキを磨く様子。膨大な量のカキを洗浄し、一つ一つ丁寧に磨き上げる。

カキは1年ほどかけて大切に育てられます。一口に糸島産と言っても、育つ場所によってカキの味に少しずつ違いがあり、福吉のカキは、磯の香りが強く、比較的塩気がはっきりとした味が特徴と言います。

熱々のカキを頬張ると、プリプリとした食感が口いっぱいに広がります。豊かな磯の香りと塩気の後には、ほんのりとミルキーな甘みが広がり、思わず次から次に手が伸びてしまいます。

伸栄丸のカキは、このまろやかさが特徴。紫外線殺菌灯だけでなく、オゾンとマイクロバブルを発生させた水槽でカキを効率的に殺菌し、生臭みがなく、丸みのある甘い味に仕上がると佐々木さんは話します。

焼きカキ。プリプリした食感とミルキーな甘みが魅力。

おいしくて身入りの良いカキを育てるために、佐々木さんは試行錯誤を繰り返す日々です。カキの稚貝は潮の流れの受け方一つだけでも生育に差が生じます。そのため佐々木さんは、カキを海中に吊るす方法や、イカダの材質の違いによる海中でのしなりや潮の受け方などを何度も試しながら研究を重ねています。

料理人になることが夢だった佐々木さんは、高校時代、食品科学科で学びました。高校卒業後は父の後を継いで漁師の道に進みましたが、栄養成分や微生物について学んだ経験は、プランクトンやカキの栄養、食中毒などの知識として、現在の仕事にも生かされています。

船の上での作業の様子。水揚げしたカキをテキパキと運び出す。

大変なことはないですか、と尋ねると、「慣れてるし、特にないけどねぇ」と笑う佐々木さん。それでも、話を聞いていると、海の仕事の大変さを感じずにはいられません。

カキの稚貝をワイヤーにつなげ、そのワイヤーをイカダに結びつけなければなりませんが、一つ一つがすべて手作業です。約5000本ものワイヤーを中腰の姿勢で結びつける作業は想像を超える重労働です。

台風が近づくと9台のイカダが流されないよう、1台につき8カ所をイカリで固定します。それでも動いてしまいそうな場合は、合計2トンにもなる砂袋を数回に分けて運び、結びつけるそうです。

自然が相手で突発的なことも多い漁業。それでも「やっぱり漁業は面白い。自分で考えて、いろんな工夫ができる」と佐々木さんは語ります。

特にやりがいを感じるのは、お客さんの「おいしい」という声を聞いたとき。「カキ小屋に来たお客さんにね、福ふくの里で買っておいしかったからお店にも来ましたって言ってもらうことがあるんよ。これはねぇ、うれしいねぇ。ここのカキが好きだって言ってもらえると、またがんばろうって気持ちになるね」と、少し目尻を下げた笑顔でうれしそうに話す姿が印象的でした。

佐々木伸一さん

「伸栄丸 佐々木」は新鮮な生カキの他、真空パックの蒸しカキも出荷しています。手軽に使える上、そのまま冷凍もできて便利。

福ふくの里に立ち寄った際は、伸栄丸のカキや魚をぜひ探してみてくださいね。

カキは11〜翌3月に福ふくの里に並びます。カキ小屋でも購入可能。

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福吉のおいしいカキや魚をぜひご賞味ください。