阿部邦宏さん(飛龍丸)

カキの阿部 飛龍丸
阿部邦宏さん


福吉のおすすめ

喜八荘の海鮮丼。漁師仲間と一緒に食べに行くこともありますよ。

取材日:2021年6月29日

糸島の海の幸を地元へ、全国へ!日々試行錯誤する7児のお父さん

まだ夜の明けない午前4時半。福吉で漁業を営む阿部邦宏さんは、伯父の達正さんと共に真っ暗な玄界灘へ向け出港します。

 

阿部さんの操業する漁船は、「一双吾智網漁」と呼ばれる伝統漁法で主にタイを取っています。潮流から魚の動きを読んで網を入れ、1隻の船で引いて魚を追い込むこの漁法は、「吾の智恵(知恵)」が語源とされるほど、知識と経験が必要と言います。

 

1時間ほどかけて漁場に出ると、達正さんが網を下ろす場所を見極め、魚の群れをぐるりと囲うように大きく円を描きながら船を走らせます。それに合わせ、阿部さんが、450メートルのロープを2本、海へと投げ込みます。ロープの先には巨大な袋状の網が結び付けられており、その中に魚を囲い込むと、今度はローラーで一気にロープを巻き上げます。頑丈なロープがしなりながら高速で回転する場景は、一歩間違えれば大事故につながりかねない危険な作業ですが、魚を逃さないための、勝負の時間です。

取れた魚を丁寧に水槽に移すと、また一から同じことの繰り返しです。休む間もないこの重労働を、阿部さんと達正さんの2人だけで1日15〜20回ほど繰り返します。

水しぶきを上げながら、魚が海面に現れる

 

港へ戻るのは18時ごろ。実に14時間を超える長丁場ですが、その疲れを癒やす間もなく、すぐに荷揚げや船の掃除に取り掛かります。

帰宅後、休憩を挟み、23時ごろからまた出荷作業に着手します。魚は鮮度が何より大切。そのため、生きたまま水揚げし、出荷直前に生き締めにして直売所へと送り出します。

漁に出る朝の4時半から、出荷作業が終わる深夜まで仮眠も取らないと聞き、思わず「大変ですね」と声を掛けると、「慣れてるけん、別に大変じゃないです」と照れたような笑顔が返ってきました。

夕暮れ時、港に到着

 

魚を手早く網ですくい、生きたまま運び出す

 

阿部さんが漁師になったのは、高校卒業後すぐ。幼い頃から漁師である父の背中を見て育ち、「当然のように漁師の道に進んで、見よう見まねで仕事を覚えました」と語る阿部さん。必死に学ぶ一方で、自分なりの工夫も重ねています。あれこれ考えを巡らせていると、ふっとアイデアが浮かぶことも多いそう。試行錯誤を繰り返し、自分のやり方で勝負できるのも漁業の楽しさだと目を輝かせます。

 

阿部さんはカキの養殖も手掛け、11〜翌3月にカキ小屋「カキの阿部 飛龍丸」や直売所でカキを提供しています。「年間を通してカキを楽しんでほしい」「全国の人に糸島のカキを知ってもらいたい」との思いから、加工品の商品開発から製造、ネット通販にも力を入れています。

加工品の商品開発は、カキ小屋のスタッフ3人とつくったチーム「飛龍丸組」で、アイデアを出し合っています。誕生したのは「燻製牡蠣」「燻製牡蠣オイル漬け」「牡蠣佃煮」などの商品。それらを生かしたメニューの提案も行っています。一つずつ丁寧に殻から身を外し、乾燥させ、燻製してからさらにオリーブオイルに漬け込むなど、非常に手間の掛かる工程で作られた品々は、一度食べたら病みつきになりそうな濃厚な旨味と香りが特徴です。「安心して食べてもらえるよう、無添加で薄味に仕上げています。手間が掛かっても、本当にいいものを作りたいんです」と熱を込める姿が印象的でした。

ギフトボックス。「飛」をモチーフにしたロゴデザインもおしゃれ。

 

加工品を使ったメニューの提案も。こちらは「カキのしょうゆバターパスタ」

 

子どもの話題になると、先ほどまでのキリリとした表情が一気に緩みました。

実は阿部さん、0歳から高校生までの7人の子どものお父さん。「やっぱり子どもはかわいいです。『大人になったらお父さんと漁をしたい』って言われた時はうれしかったなぁ」と目尻を下げます。

いつも自主的に荷揚げや出荷作業の手伝いをしてくれる子どもたちは、海の幸が大好物。「この子たちの未来のためにも、糸島のおいしい魚やカキを大切にしていきたい」と阿部さんは語ってくれました。

小学3年生の娘、亜依瑠(あいる)さんも慣れた手つきで水揚げを手伝っていた

 

3歳の息子、瑛伊堂(えいと)くん。船の上にちょこんと腰掛けて作業を見守る

 

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通販も行っています。
ギフトボックスは、「燻製牡蠣」「燻製牡蠣オイル漬け」「牡蠣佃煮」からお好きな商品3点を詰め合わせ可能です。お気軽にご相談ください。
https://kakinoabe.stores.jp/

「カキの阿部 飛龍丸」(カキ小屋)
〒819-1631
福岡県糸島市二丈福井5490-13
(営業期間:11月初旬~翌3月末)
TEL: 092-326-5774
HP:http://www.kakinoabe.com/