浄土真宗本願寺派 長楽寺住職:川﨑文丸 さん

地域の皆さんと暮らしを共に 500年の歴史を持つ長楽寺

 

福吉駅から浮嶽方面に向かうと、山々を背景とした田園風景の中に吉井の集落が見えてきました。数十件の住宅と共に、日帰り入浴施設として地元で人気のまむしの湯もあるこの地域に、500年以上の歴史をもつ長楽寺があります。

 

大きなイチョウの木と荘厳な伽藍(がらん)が印象的な長楽寺は、1570年ごろ教観という僧侶がお寺を開いたのが始まりだそうです。

 

 

見ごろの時期の大イチョウ

 

「浄土真宗のお寺は、集落の中にあるのが特色なんです」と教えてくれたのは、長楽寺住職の川﨑文丸さん。息子さんの副住職、その妻の若坊守さんと共に長楽寺を守っています。

 

 

「住職に休みはなく、365日24時間、門徒さんに何かあればすぐに駆け付けるようにしています。いつだったか、大晦日に除夜の鐘を打ち終わった後にお参りに伺ったこともあったね。お寺は門徒さんたちに支えられていて、例えば、広い境内の草取りや掃除を毎月交代でして下さっています」。

 

普段からご近所としても顔の見える関係である住職と門徒さんたちは、互いに尊重し合い、必要な時は助け合う関係を築いています。

 

 

浄土真宗の教えを語る川﨑さん

 

長楽寺の本堂の建て替えのきっかけとなったのも、門徒さんの言葉でした。元禄時代に建てられた旧本堂は、福岡県西方沖地震にも耐えましたが、「今後も本堂は大丈夫か」と心配した門徒さんたちの声を受け、調べてみると「いつ倒れてもおかしくない」状態だったと言います。

 

その後、門徒さんをはじめ、多くの方々の理解と協力を得て、本堂が新しく建て替えられたそうです。

 

 

2017年に建て替えられた本堂

 

 

本堂と共に新しくなった内陣(ないじん)

 

そんな長楽寺には、吉井に住む人からの野菜に果物に魚介類にと、仏さまへのお供え物も絶えません。

「吉井の人たちは本当に長楽寺を大事にしてくださる。本当にありがたいことです」

 

 

浄土真宗の経典「日常勤行聖典(にちじょうごんぎょうせいてん)」

 

川﨑さんが1年で最も忙しいのは8月。全ての門徒さんをお盆前から訪問し、お経をあげます。「今は車でどこでも行けるし、副住職と2人で参るから楽になったよ」と川﨑さんは話しますが、それでも1週間はかかります。

 

お盆の時期以外にも、3月・9月の「お彼岸の法要」、全ての亡くなった方を追弔する4~5月の「永代経法要」、浄土真宗において1年の中で最も大きな法要であり、親鸞聖人のご命日に近い12月に営まれる「報恩講(ほうおんこう)法要」など、1年を通して法要が勤まっているそうです。

 

 

毎朝夕に、本堂でお経をあげる

 

 

住職としてのお勤めをする際は、きりっと厳しい顔の川﨑さんですが、意外な一面を見せてくれました。マジックを披露してくれたのです。

 

そのマジックとは、相手が任意で選んだ1から31までの数字を当てるというもの。5枚の紙にそれぞれ16個の数字が書かれており、回答者は選んだ数字があるかないかを答えます。慣れた様子でマジックを披露してくれ、「ある」「ない」と5回繰り返すと、大当たりでした。私がタネを見破れず驚いていると、得意げな笑顔を見せてくれました。

 

コロナ禍以前は、夏休みに小学生たちとお寺でピザ作りやレクリエーションをすることもあり、その際もマジックは大好評だったと言います。マジックを見た子ども達の驚きの顔と川﨑さんの笑みが、浮かびます。

 

 

マジックを披露する川﨑さん

 

 

住職として吉井の人と共に過ごしてきた50年間。川﨑さんは今日も朝夕休まずお勤めをされていることでしょう。

 

 

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浄土真宗では仏さまのお話を聞くことを
大切にしています。どなたも、どうぞお参りください。

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